コラム

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──商用・乗用、産業構造、社会への影響を総合的に読み解く──

日本政府は2030年度までにレベル4自動運転の商用車を1万台普及させる目標を掲げており、これはドライバー不足の深刻化や物流インフラ維持、地域交通の確保といった社会課題に対応するための重要な取り組みです。2027年度までは1000台未満の導入が見込まれていますが、そこから2030年度に向けて急速に普及を進める計画が示されています。自治体や開発企業への支援策も強化される見通しで、自動運転の社会実装に向けた政策が加速しています。

海外ではアメリカや中国が実証段階から商用段階へ進んでおり、中国では自動運転タクシーが既に複数都市で運行されています。これに対して日本は慎重な進め方をとってきましたが、政策や技術開発が進むことで今後5〜10年の間に商用サービスが大幅に拡大すると予測されます。特に物流領域では自動運転トラックの需要が高まる可能性が高く、過疎地域では自動運転バスが地域交通の担い手として重要な役割を果たすことが期待されます。

乗用車分野では、現在レベル3を市販車として実装しているのはホンダ・レジェンドのみですが、今後は国産メーカー各社がレベル3の技術を搭載したモデルを段階的に追加していくと見込まれます。5年後には複数車種でレベル3が選択可能になり、10年後には主要メーカーのフラッグシップ車や高級モデルを中心に普及する可能性があります。ただしレベル4については法制度や社会受容性、インフラ整備が大きく関わるため、乗用車での普及にはより長い時間軸が必要になります。

自家用車としてレベル3以上の自動運転が当たり前になるかどうかは、生活環境への適合度とコストが大きな鍵を握ります。5年後は限定的な高価格帯モデルの普及が中心で、10年後にミドルクラス車種へ拡大する段階が予想されます。30年後には高度な自動運転が一般的な選択肢となる可能性があり、都市部では自動運転車が主要交通手段の一つとなっていると考えられます。一方で地方では道路環境や人口密度の違いから普及速度に差が生じる可能性があります。

自動運転とパワートレインの関係では、ソフトウェア制御との相性からEVが最も自動運転と親和性が高いとされています。ハイブリッド車も引き続き一定の役割を果たしますが、将来的な自動運転の普及に伴い制御の一体化やメンテナンス性の観点からEV比率が高まると見込まれます。ガソリン車は今後次第に減少する方向に進み、産業全体としては電装・ソフトウェア開発、センサー、半導体などの領域で需要が大きく増加し、自動車産業の裾野が大きく再構成される可能性があります。

日本で自動運転が進みにくい背景には、安全性に対する高い社会的要求、複雑な道路環境、法制度整備の慎重さ、地方と都市部のインフラ格差などが挙げられます。また、事故時の責任範囲の整理や通信インフラの高度化、継続的なデータ取得と改善体制の構築も不可欠です。導入が進めば、物流・交通分野での人手不足解消に寄与する可能性がありますが、すべてを自動運転で置き換えることは難しく、特に長距離輸送や夜間配送など特定領域での補完的役割が現実的です。

自動運転導入によるメリットには、交通事故の減少、物流効率の向上、地域交通の維持、移動制約のある人々の移動機会拡大などが含まれます。一方で、システムトラブル時のリスク、サイバーセキュリティの課題、運転関連職種の雇用変化、高コストによる導入格差などのデメリットも想定されます。これらを踏まえると、自動運転の導入は技術的課題だけでなく社会構造全体に影響を及ぼすテーマであり、段階的で持続的な取り組みが重要になります。

今後の日本の自動運転市場は、政策支援と技術革新を背景に着実に拡大していくと見られます。商用領域から普及が進み、乗用車へと波及する流れのなかで、自動車産業はハード中心からソフトウェアとサービスを含む複合産業へと変化していくことが予測されます。自動運転の進展は社会課題の解決に寄与しつつ、日本のモビリティ産業の新たな方向性を形成していくと考えられます。


OKI EMSグループは、急成長する宇宙ビジネス分野において、熱、基板、配線に関する各社のコア技術を結集し、包括的なソリューションを提供している。本資料は、同グループが展開する宇宙機器開発を支える主要なサービスと技術の要点をまとめたものである。

  • 統合検証サービス「シミュばり」: 宇宙機器の熱設計課題に対し、シミュレーション、実機検証(バリデーション)、部品レベルの不具合解析をワンストップで提供する。これにより、放熱設計の精度向上、開発期間の短縮、故障の未然防止を実現し、顧客の宇宙事業を強力にサポートする。
  • 先進的基板・配線技術: 「NewSpace」と呼ばれる新たな宇宙産業の潮流に対応するため、最先端のハードウェアソリューションを開発。軽量・柔軟で高信頼性を誇る「フレキシブル基板」は小型衛星の省スペース化と軽量化に貢献し、高効率な放熱を実現する「凸型銅コインプリント配線板」は高性能デバイスの安定動作を支える。
  • 高度な解析・評価能力: 宇宙特有の過酷な環境を正確に評価する技術を保有。真空・減圧環境下での熱抵抗を精密に測定する「熱過渡解析」や、ロケットの短時間運用を考慮した「非定常熱解析」により、設計の妥当性を検証し、故障リスクを低減する。
  • グループ連携による総合サポート体制: 設計から試作、評価、そしてH3ロケットへの納入実績に裏打ちされた高品質な量産まで、OKI EMSグループ各社の専門技術と実績を連携させることで、一貫したサポート体制を構築。宇宙分野への新規参入から既存事業の高度化まで、あらゆる挑戦のパートナーとなることを目指している。

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第1部:宇宙機器熱特性検証サービス「シミュばり」

OKI EMSグループが新たに開始した「シミュばり」は、宇宙機器開発における熱設計の課題を解決するための統合サービスである。シミュレーションとバリデーションを組み合わせた名称が示す通り、解析と実証を連携させたアプローチを特徴とする。

1.1 サービスの概要と目的

「シミュばり」は、以下の3つのプロセスをワンストップで提供する体制を構築している。

  1. 熱解析シミュレーション: 製品の熱挙動を机上で予測し、最適な放熱設計を検討する。
  2. 実機による熱特性検証(バリデーション): シミュレーション結果を実機で検証し、すり合わせを行う。
  3. 不具合現象の部品レベル解析: 問題が発生した際に、実装基板や部品レベルまで詳細に解析し、真の原因を特定する。

この統合サービスにより、以下のメリットを実現する。

  • 放熱設計の精度向上
  • 開発期間の短縮
  • 故障の未然防止と信頼性向上

1.2 3社連携による強固な体制

本サービスは、OKIグループ内の3社がそれぞれの専門技術とノウハウを結集することで実現されている。

  • 沖サーキットテクノロジー (OCT): 高品質なプリント配線板(PCB)の製造技術、特に銅コインなどの放熱技術を保有。
  • 沖エンジニアリング (OEG): 不具合解析や信頼性評価、熱抵抗測定など、高度な解析・検証技術に強みを持つ。
  • 沖アイディエス (OIDS): 熱解析シミュレーションやロケット搭載機器の設計ノウハウを有する。

1.3 主なターゲットと活用事例

本サービスは、特に以下のような課題を持つ企業にとって有効である。

  • 地上用で実績のある製品を宇宙用に転用したい。
  • 宇宙環境に対応するための設計プロセスを見直したい。
  • コスト効率の良い評価方法を探している。

活用事例:地上向けユニットの宇宙転用 地上製品ではファンによる空冷が一般的だが、真空の宇宙空間では使用できない。そのため、機能は維持しつつ、厳しい環境で安定動作させるための設計変更(リデザイン)が必須となる。「シミュばり」では、熱解析シミュレーションで新たな放熱設計を検討し、その設計に基づいた実機検証を実施。このサイクルを繰り返すことで、ファンレスでも確実に放熱できる高信頼性設計の実現を支援する。

1.4 開発から量産までの一貫サポート

設計から量産まで、OKI EMSグループがトータルでサポートする。

  • 設計フェーズ: 目標温度に達しない場合、レイアウトの見直しに加え、沖サーキットテクノロジーが持つ銅コイン放熱技術などを活用した対策を提案する。
  • 不具合発生時: 沖エンジニアリングが得意とする不具合解析により、実装基板や部品レベルまで詳細に原因を特定・切り分ける。
  • 量産フェーズ: 設計確定後は、OKI EMSグループが組み立て、検査、トレーサビリティ管理までを一貫して支援。特に、沖サーキットテクノロジーはH3ロケット向け基板の約90%を納入し、JAXAからも認定される品質を誇る。

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第2部:NewSpace時代に対応する先進的基板・配線技術

宇宙産業の民間参入(NewSpace)が加速する中、小型・軽量で高性能なコンポーネントへの要求が高まっている。沖電線と沖サーキットテクノロジーは、こうしたニーズに応える先進的な基板・配線技術を開発している。

2.1 フレキシブル基板(FPC)の可能性(沖電線)

フレキシブル基板(FPC)は、その特性から宇宙用途での活用が期待されている。

特徴

詳細

折り曲げ可能(柔軟性)

狭いスペースでの三次元配線や可動部への配線を可能にし、機器の省スペース化を実現する。

極薄・軽量

厚さ0.1~0.2mmと非常に薄く、従来のケーブルと比較して約1/5の重量。電子機器の小型・軽量化に大きく貢献する。

高い信頼性

単純な屈曲動作で1億回の耐久性を持つものもあり、配線ミス(誤配線)のリスクも低減できる。ポリイミド等の材料により、耐熱性、耐放射線性、電気絶縁性にも優れる。

宇宙用途での実績と展望 FPCの歴史は1960年代にNASAで採用されたことに始まる。沖電線のFPCは、2010年に打ち上げられたJAXAの小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS」のセイル部分(全長14m)に長尺FPCとして採用された実績を持つ。 近年、コストと納期が重視される小型衛星市場において、沖電線は独自の生産技術により最長100m級の長尺FPCを最小ロット1枚から短納期で提供する体制を整え、スタートアップ企業を含むNewSpace市場の要求に応えている。

2.2 高放熱プリント配線板の開発(沖サーキットテクノロジー)

電子部品の高性能化に伴う発熱問題に対し、沖サーキットテクノロジーは銅コインを基板に埋め込むことで放熱性を高めた配線板を提供している。

新開発「凸型銅コインプリント配線板」 従来の円柱形コインを発展させ、放熱側(基板裏面側)の径を大きくした「凸型」の銅コインを開発。これにより、筐体との接触面積が増大し、伝熱効率がさらに向上する。

独自の製造工法 凸型形状のコインは従来の圧入方法での固定が困難であったため、新たな工法を開発した。

  1. コインの上下の径に合わせた穴を持つ基板ブロックをそれぞれ事前に積層する。
  2. これらのブロックとプリプレグを重ね合わせる際に凸型銅コインを差し込む。
  3. 最終的な積層工程で、熱で溶解したプリプレグの樹脂がコインの周囲に充填され、強固に固定される。

この工法は、宇宙用プリント配線板で実績のある材料とプロセスをベースにしており、ヒートサイクル試験などの信頼性評価によって十分な耐久性が得られることを確認している。

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第3部:宇宙環境を模擬した高度な評価・解析技術

宇宙機器の信頼性を確保するためには、地上とは全く異なる環境を想定した評価と解析が不可欠である。沖エンジニアリングと沖アイディエスは、それぞれ独自の専門技術で高精度な評価ソリューションを提供する。

3.1 減圧環境における熱抵抗測定(沖エンジニアリング)

手法:熱過渡解析 ICやLSI内部に組み込まれたPNダイオードを温度センサーとして利用し、非破壊で部品内部から周囲環境に至るまでの熱の伝わりやすさ(熱抵抗)を測定・可視化する手法。測定された過渡応答特性を「構造関数」と呼ばれるグラフに変換することで、チップ、ダイボンド、ヒートシンクなど、各部位の熱抵抗を分離して評価できる。

宇宙環境を模擬した測定での発見 パワーMOSFETを真空チャンバー内で減圧しながら熱過渡解析を実施した結果、以下の重要な知見が得られた。

  • 熱抵抗の増加: 減圧が進むにつれて、対流による熱放出が減少し、素子外部付近の熱抵抗が大幅に増加する。
  • 接合温度の急上昇: 常圧時と比較して、減圧条件下では接合温度が約30℃上昇した。

この結果は、電子部品のデータシートに記載されている熱に関する値(通常は常圧下で測定)を、そのまま宇宙のような減圧環境での設計に用いることの危険性を示唆している。実環境を模擬した測定は、想定外の劣化や故障を防ぐ上で極めて重要である。

3.2 ロケット搭載機器の熱解析(沖アイディエス)

ロケットに搭載される機器は、人工衛星とは異なる特有の条件下で動作するため、専用の解析アプローチが必要となる。

ロケット特有の3つの条件

  1. 放熱経路: 内部機器の放熱は、ロケット構造体への「熱伝導」が主となる。
  2. 環境変化: 地上での稼働開始後、打ち上げに伴い周囲環境が「真空」へと変化する。
  3. 短時間の運用: ペイロード分離時点で役目を終えるため、動作時間が非常に「短命」である。

対応する解析手法 これらの条件を考慮し、以下の手法を組み合わせて解析精度を高めている。

  • 非定常熱解析: 機器の温度が平衡状態(定常状態)に達する前に動作を終えるため、時間経過に伴う温度変化を追跡する非定常解析が適している。
  • ヒートマスモデル: ロケットの構造体を熱的に等価な解析モデルとして作成。これにより、実機に近い熱伝導による放熱経路をシミュレーション上で再現する。
  • 厳しい条件設定: 解析の初期段階から周囲環境を「真空」と仮定。対流による放熱がない、より厳しい条件で評価することで、設計の安全性を確保する。

実機検証との整合性 試作機を用いた真空環境での温度測定試験の結果、実測値は解析値よりも約8℃低い値を示した。これは、解析では部品の発熱量を最悪条件で設定していたのに対し、実機ではそれよりも発熱が抑えられたためと考えられる。解析結果と実測値の温度上昇カーブが良好な相関を示したことから、この解析手法の妥当性と、適用された熱対策が有効であることが実証された。

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第4部:OKI EMSグループの総合力と将来展望

OKI EMSグループは、各社の専門性を有機的に連携させることで、宇宙分野における複雑な課題に対応する総合的なソリューションを提供する。

4.1 グループ連携による包括的ソリューション

  • 設計・解析 (OIDS): 高度なシミュレーション技術で最適な設計を支援。
  • ハードウェア (OCT, 沖電線): 高信頼性・高機能な基板・配線技術で設計を具現化。
  • 評価・検証 (OEG): 実環境を模擬した精密な測定と解析で信頼性を担保。
  • 製造・量産 (OKI EMS): 高品質な一貫生産体制で製品を供給。

この設計から量産までの一貫体制により、顧客の新たな挑戦を強力にサポートするパートナーであり続けることを目指している。

4.2 今後の展開

  • 「シミュばり」のサービス拡充: 熱特性だけでなく、宇宙機器開発で求められる軽量化、振動、衝撃といった多様な課題に対しても、グループの知見を結集し、検証メニューを拡充していく。
  • 他分野への技術応用: 「宇宙=真空」という環境課題は、宇宙産業に限らず、真空環境下で利用される様々な産業機器(半導体製造装置など)にも共通する。今後は、これらの多様な分野の製品開発にも貢献できるサービスへと成長させていく計画である。







ロボットの多様化と用途の拡大

AIの進化とともに、ロボットは産業界から日常生活まで幅広く活躍の場を広げています。現在想定されるロボットの用途は以下の通りです。

  • 産業系:FAロボット(溶接、組立、検査)、協働ロボット、物流ロボット、建設ロボット

  • 生活・社会系:サービスロボット(配膳、案内、清掃)、人型ロボット、介護・医療ロボット、家庭用ロボット

  • モビリティ系:自動運転車、ドローン、水中ロボット

  • 特殊領域:宇宙ロボット、軍事・防衛ロボット、農業ロボット

これらのロボットは、センサーやアクチュエータを駆使して動作します。その「血管」ともいえる存在がロボットケーブルです。電力と信号を安定して伝達するケーブルの需要は、ロボットの普及に比例して拡大していきます。



ロボットが増える理由

ロボットが社会で増加していく背景にはいくつかの要因があります。第一に、労働人口の減少です。特に先進国では少子高齢化が進み、労働力不足を補うためにロボット導入が加速しています。第二に、コスト削減と生産性向上です。ロボットは長時間稼働が可能で、品質を安定させるための自動化が求められています。第三に、安全性の向上です。危険な現場作業をロボットに代替させることで、人間のリスクを大幅に低減できます。さらに、AI技術の進歩により、ロボットは学習や判断を行えるようになり、従来は人間にしかできなかった作業領域へと進出しています。



人間とAI・ロボットの共生未来像

ロボットは今後、人間社会のインフラ的な存在になっていくと考えられます。時間軸ごとに未来像を整理すると、以下のようになります。

  • 5年後(2030年):工場や物流、サービス現場でロボットが標準化します。介護や医療現場でも普及が始まり、人間はロボットと作業を分担するようになります。

  • 10年後(2035年):家庭や公共施設にロボットが浸透し、自動運転や配達ドローンが社会インフラとして機能します。人間はロボットを「管理・教育する存在」となり、AIが意思決定をサポートします。

  • 30年後(2055年):ロボットが生活のあらゆる場面で共生します。介護・医療分野では人間の生活を支える基盤となり、感情的なインターフェースを持つロボットも登場します。社会制度もロボットを前提に再設計される未来が想定されます。

ロボットケーブルの需要予測と進化

ロボットの普及に伴い、ロボットケーブル市場は急速に拡大しています。2023年時点で世界市場規模はおよそ 12~16億ドル(USD 1.2~1.6 Billion) です。調査によれば、2030年には 約25億ドル、2033年には 35億ドル まで拡大すると予測されています。長期的には2055年頃に現在の 5~10倍規模(60~80億ドル以上) に成長する可能性があります。

進化の方向性

  • 5年後(2030年):高屈曲耐性、小型・軽量化、ノイズ対策の強化

  • 10年後(2035年):多芯化・高密度化、高速伝送対応(10Gbps以上)、電力線と通信線を統合したハイブリッドケーブル、医療用の滅菌・抗菌対応

  • 30年後(2055年):自己修復ケーブル、光電融合ケーブル、内部センサーによる自己診断機能、ワイヤレス給電併用型ケーブル


まとめ

ロボットの需要増加は、社会構造の変化や技術革新に強く支えられています。その中でロボットケーブルは、目立たない存在でありながら、ロボットの安定稼働を支える不可欠な基盤です。今後は、より柔軟で高性能、かつ環境に適応できるケーブルへと進化していくでしょう。人とロボットが共生する未来において、ロボットケーブルはまさに「縁の下の力持ち」として社会の発展を支えていく存在になると考えられます。






この表は、米国の電線規格「AWG(American Wire Gauge)」と、日本などで一般的な「SQ(平方ミリメートル)」サイズとの対応関係を示したものです。AWGは数値が小さいほど太い電線を意味し、SQは導体の断面積をmm²で表します。異なる規格間で電線サイズを比較・換算する際に活用できます。

 

AWG対応SQ
サイズ
断面積
(m㎡)
AWG 300.05 SQ0.0507
AWG 280.08 SQ0.0804
AWG 260.12 SQ0.128
AWG 240.2 SQ0.205
AWG 220.3 SQ0.324
AWG 200.5 SQ0.519
AWG 180.75 SQ0.823
AWG 161.25 SQ1.31
AWG 142 SQ2.08
AWG 123.5 SQ3.31
AWG 105.5 SQ5.261
AWG 88 SQ8.368
AWG 614 SQ13.30
AWG 422 SQ21.15
AWG 238 SQ33.63
AWG 138 SQ42.41
AWG 1/060 SQ53.49
AWG 2/060 SQ67.42
AWG 3/080 SQ85.3
AWG 4/0100 SQ107.2

動画では、沖電線の「ギガビット・イーサネットケーブル」の特長や採用分野を含め、OKIアイディエスのFPGA/SoC向け高速データ伝送ソリューション『iシリーズ』を中心に、それぞれの技術的特長、具体的なユースケースや、導入メリットを解説しております。


AI/IoT/DX時代を支える!OKI IDSの高速データ伝送ソリューションとそれを支えるケーブル技術

AIやIoT、DX(デジタルトランスフォーメーション)が社会に深く浸透する現代において、工場ライン、監視カメラ、自動運転車など、様々な分野でシステムは高度化し、大容量かつ高速なデータ伝送が不可欠となっています。従来のデータ伝送方式では、データ量が増加するにつれてリアルタイム性が損なわれ、情報処理が追いつかなくなるという課題に直面しています。このような課題を解決するため、OKI IDSはFPGAを活用した高速データ伝送ソリューションを提供しています。


高速データ伝送が求められる背景とFPGAの優位性

現代の高度なシステムには、低消費電力、リアルタイム性、低遅延、堅牢性(耐久性、長寿命性)、高柔軟性、小型・軽量といった特性が求められます。例えば、自動運転では事故回避のためにリアルタイム性と低遅延が極めて重要です。

これらの要求に応えるため、OKI IDSでは「フィールドプログラマブルゲートアレー(FPGA)」という、プログラミングで書き換え可能な論理回路デバイスを活用したソリューションを提案しています。FPGAは、CPUやGPUと比較して20%から50%もの消費電力を削減できるほか、リアルタイム性、堅牢性、低遅延、高柔軟性、小型・軽量であるという特性を持ち、通信の強化に不可欠なデバイスです。


OKI IDSの3つの高速データ伝送ソリューション

OKI IDSは、お客様の多様なニーズに応えるため、以下の3つの高速データ伝送ソリューションを提供しています。いずれも規格の公称値に近い転送レートを実現しています。


1. I-Gig(ギグイビジョン対応ソリューション)

I-Gigは、産業用イーサネットの画像伝送規格「GigE Vision」に対応したソリューションです。

【特長と機能】

  • 最大10Gbpsでの転送が可能

  • イーサネットケーブルによる長距離転送が可能

  • UDPプロトコルでも再送機能により信頼性を確保

  • 汎用PCや標準的なインターフェース・ケーブルに対応

  • GenICam対応でアプリケーションからカメラ制御が可能

【適用事例】

  • 道路のリアルタイム監視システム

  • 医療用レントゲン装置(非圧縮画像伝送)

【製品ラインナップ】

  • I-Gig TX(カメラ側用、PTP軽量版・高機能版)

  • I-Gig RX(モニター側用)

【デモ事例】

  • AMD Kria K26 SOM搭載の10GigE Visionカメラプラットフォームで、5.1MP 60FPSのカラー画像を約5.1Gbpsで伝送可能


2. I-TE(TCP/IPオフローディングエンジン)

I-TEは、TCP/IP通信処理をFPGAにオフロードすることで高速化を実現するTCP Offloading Engine(TOE)です。

【特長と機能】

  • CPU負荷を削減し、公称値に近い高速通信(例: 1Gbpsで920Mbps)

  • TCP高速通信と制御用小パケット通信を1つのIPで提供

  • 1GbE~100GbEに対応

  • 並列処理による高速チェックサム演算

【適用事例】

  • 画像診断装置、監視カメラ(4K・8K映像対応)

  • 車載ネットワーク、AIデータ処理

【開発サポート】

  • マイクロブレイズやZynqのLinuxアプリケーション開発対応

  • MAC・PHY制御、インターフェース設計サービス提供


3. I-DMAC(PCI Express DMAコントローラー)

I-DMACは、AMDのPCI Express統合ブロックに最適化されたDMAコントローラーで、CPUを介さず高速データ転送が可能です。

【特長と機能】

  • PCIe知識不要で高速設計が可能

  • Windows・Linux対応のドライバー提供

  • 長年の実績による安定品質

  • CDTリストにより仮想記憶管理下での連続DMA転送が可能

  • ノーマル転送モードとキャプチャー転送モードを搭載

【適用事例】

  • 映像制作機器、画像診断装置

  • データ通信装置、スマートNIC構築

  • PCIe Gen4 x8対応で省電力・高効率化

【開発サポート】

  • リファレンスデザイン、評価用IP、マニュアル等を提供

  • 要求仕様に応じたマルチチャネル化やSR-IOV対応


高速データ伝送を支えるケーブル技術

OKI電線は、高速データ伝送を支えるため、GigE Vision対応の高性能ネットワークケーブルを提供しています。

【特長】

  • 耐環境性能:油、埃、振動、温度変化に強い

  • ノイズ耐性:外部干渉にも強く、安定通信を実現

  • 柔軟性:狭いスペースや可動部に最適な設計

【製品ラインナップ】

  • EtherCAT、MECHATROLINK、CC-Linkなどに対応

  • カテゴリー5~7のケーブル、RJ45以外のコネクターも対応

【お客様への貢献】

  • 産業用ロボットの制御支援

  • 監視システムでのリアルタイム画像処理

  • スマート工場でのIoT活用とネットワーク最適化

  • 現場の課題に合わせた開発や提案も実施


まとめ

OKI IDSは、I-Gig、I-TE、I-DMACという3つの高速データ伝送ソリューションと、OKI電線の高性能ケーブル技術により、AI/IoT/DX時代の多様なニーズに応えています。

 



◇沖電線 ギガビット・イーサネットケーブル
https://www.okidensen.co.jp/jp/prod/cable/mv/index_gigab.html?lfpeid=e5ElX34UtcpZ&lfmaid=1000339978-1

近年、電子機器の小型化・高密度化が加速する中で、狭いスペースでの信頼性の高い配線が求められています。
特に、超細径ケーブルと低背コネクタの組み合わせは、ロボットやウェアラブル、ドローンなどの分野で重要なインターフェースとなっています。

本記事では、沖電線製「UL11527 AWG28 φ0.60mm」単芯ロボットケーブルと、各社の狭ピッチ・低背コネクタとの適合性、今後の応用分野についてご紹介いたします。


1. 電子機器の高密度化と配線課題

小型化された電子機器では、内部スペースに限りがあり、柔軟で細径な配線材と省スペース型コネクタが必要不可欠です。

とくに動きのある部位や、人に装着されるような機器では、「細くて柔らかく、断線しにくい電線」が求められます。
そうしたニーズに対応できるのが、「UL11527 AWG28 φ0.60mm」ケーブルです。


2. UL11527 AWG28 φ0.60mmの製品概要

UL11527は、可動部向けに設計された単芯ケーブルで、以下の特長を備えています:

  • 導体構成:49/0.05mm 撚線(高柔軟)

  • 絶縁体外径:0.60mm(超細径)

  • 絶縁体材質:ポリエステルエラストマー(耐屈曲・耐熱105℃)

  • 定格:30V、UL11527認証、RoHS2対応

極細ながら柔軟性と耐久性を両立しており、繰り返しの屈曲を伴う用途にも適しています。


3. 適合する低背コネクタの種類

UL11527の絶縁体外径φ0.60mmは、以下のような各社の小型圧着端子に対応しています。

  • JST ACHコネクタ(SACH-003G-P0.2)

  • JST SUHコネクタ(SSUH-003T-P0.15)

  • ヒロセ電機 DF52 / DF57 / DF58シリーズ

これらのコネクタは狭ピッチ・低背設計で、限られた基板スペースに対応しながら、しっかりとしたロック機構を備えています。
UL11527はこれらに物理的・電気的にマッチし、安定した圧着と挿抜性を実現します。


4. 今後の用途展開と成長が見込まれる分野

UL11527と低背コネクタの組み合わせは、次のような分野でのニーズが高まっています。

【車載分野】
EVやADASの制御機器、センサ配線など。振動・熱・スペース制約が厳しい環境で活用が期待されます。

【医療機器・ウェアラブル】
ポータブル検査機器、パッチ型モニター、スマートウェアなど。軽くて柔らかな配線が求められます。

【ロボット・ヒューマノイド】
手先や関節などの屈曲部での配線に適しています。屈曲回数の多い可動部においても耐久性があります。

【ドローン・UAV】
ジンバルやセンサ周辺の信号配線に使用可能。軽量性と柔軟性が重要視される分野です。

【IoT・AR/VR・民生機器】
スマートグラスやセンサーノード、超小型IoT端末など。高密度実装と信頼性のある配線が求められます。


5. 小ロット対応で試作にも最適

φ0.60mm以下の可動用単芯ケーブルは、一般的には数千m単位の受注生産が主流です。
しかし弊社では、以下の対応が可能です。

  • UL11527 AWG28 φ0.60mm(白・黒)を1m単位で在庫販売

  • 在庫即納・短納期対応

試作や少量開発のスピードアップにお役立ていただけます。


6. まとめ

UL11527 AWG28 φ0.60mmは、小型で可動性を求められる電子機器に最適なケーブルです。
低背コネクタとの高い適合性を備えており、車載、医療、ロボティクス、IoTなど将来性ある分野での活用が期待されています。

小ロットからの調達が可能ですので、開発段階のご要望にも柔軟に対応いたします。
ご興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。


 


◇商品ページ
https://nisho.ocnk.net/product/1659










1. 製品概要:ORP-30Fとは?

沖電線が開発した ORP-30F は、日本最細クラスのロボットケーブルです。以下の特長を備え、主にロボット用途に向けて設計されています:

  • 極細径で狭小スペースに適応

  • 繰り返しの曲げに耐える耐屈曲性

  • 軽量設計で機器の小型化に貢献

  • 複雑な配線にも対応できる柔軟性と断線リスクの低減

現在は主にFA(ファクトリーオートメーション)分野で使用されていますが、将来的にはさらに広範な用途が期待されています。


2. 市場背景:ロボット×AI統合の進展

セグメント2021年市場規模2030〜33年予測成長倍率
サービスロボット約8,000億円約4兆円×5
協働ロボット(コボット)約1,000億円約3兆円×30
AI統合医療ロボット約8,000億円約4兆円×5

ロボットのスマート化・小型化が進むにつれて、高密度信号線や耐メカストレス対応ケーブルへの需要が急増しています。


3. 超細径ケーブルの用途拡大

  1. 医療・介護ロボット

    • ダ・ヴィンチ手術支援ロボット、内視鏡操作機器、注射補助アームなど

    • 極細径化と高絶縁で安全性を確保

  2. サービス・家庭用ロボット

    • 清掃ロボット、配送・接客ロボット、教育用ロボット

    • コスト・耐久性・信号品質重視

  3. ウェアラブル/ヒューマンインターフェース

    • 外骨格スーツ、リハビリ支援衣、遠隔操作グローブ

    • 人の動作に追随する柔軟性と耐久性、耐汗・耐湿性などが重要

  4. ドローン・自律走行ロボット(AMR/AGV)

    • 軽量ドローンの制御配線、自律走行ロボットのケーブル

    • 軽量性・耐振動性・信号+電力伝送の両立が求められます

  5. 精密機械・半導体製造装置

    • 半導体ウェハ搬送ロボット、高精度リニアステージ等

    • 低粒子・低アウトガス性・高周波信号対応などが求められます


4. 今後10年間の需要予測

  • 2035年までにロボットケーブル全体の需要は5~10倍に拡大見込み。特に超細径・高耐久ケーブルの需要が加速します。

  • 市場を牽引する要因

    • 小型化(Miniaturization)

    • AI統合による信号ライン増加

    • 医療・航空分野の国際規格準拠

    • 環境配慮型材料への転換


5. 結論:ORP-30Fはロボティクス時代の重要部材

ORP-30Fは単なるFA向けケーブルにとどまらず、医療・福祉、精密機械、自律移動分野など、次世代ロボット領域での中核部材としての可能性を秘めています。

その「超細径」「高耐久」「高柔軟」という特性により、高密度な配線環境でも優位性を発揮し、今後ますます重要な役割を果たしていくと期待されます。


 


◇メーカーサイト
https://www.okidensen.co.jp/jp/prod/cable/robot/orp30f.html

◇商品ページ
ORP-30F 対 シ ールドなし 超細径
https://nisho.ocnk.net/product-list/679

ORP-30F 対 シールド付き(SB) 超細径
https://nisho.ocnk.net/product-list/577

ORP-30F 芯 シ ールドなし 超細径
https://nisho.ocnk.net/product-list/609

ORP-30F 芯 シールド付き(SB) 超細径
https://nisho.ocnk.net/product-list/610








ORP-30F 28AWG×6C(SB)(21103)